1. 主な面接試験と一人当たりの所要時間の比較
OPI(Oral Proficiency Interview)では約30分、TOEICのLPI
(Language Proficiency Interview)では20〜25分SST(Standard Speaking Test
)では約15分、そして英語検定試験二次面接では5〜7分となっている。
英検は受験者数が圧倒的に多いために、限られた時間内でいかに評価を行うかが問われる。
2. 高校入試、大学入試における英検資格の優遇措置の状況
( )内は推薦入試件数 参考:英語検定協会発行資料
|
入試年度 |
公立高校 |
私立高校 |
短期大学 |
大学 |
|
1995 |
---- |
171(112) |
165(130) |
164(148) |
|
1996 |
179(96) |
208(130) |
206(156) |
194(171) |
|
1997 |
95(52) |
120(83) |
227(167) |
204(178) |
3. 面接試験形態のリニューアルの概要 参考:英語検定協会発行資料
4. 新旧形態におけるDisplay要素とReferential要素の比較
コミュニケーション活動における質問の形態は、以下のような2種に分けて考えることができる。Referentialの要素が強くなればなるほど、実際のコミュニケーションにより近づくと考えられる。
Display Question: "known information questions" -
that is, questions to which the teacher already knows th answers. ( Long
& Sato 1983 )
(質問者があらかじめ解答を持っている質問)
Referential Question: "true information questions "-
those which refer to actual information sought by the questioner( Long
& Sato,1983 )
(質問者が欲しい情報をさぐる質問)
When we consider these two terms, it is important to note that they are
not categorically discrete, but occupy the opposite ends of the same continuum:
the continuumof 'predictability.'
+predictability -predictability
display |----|----|----|----|----| referential
( Yoshida 1993, A GUIDE TO ORAL COMMUNICATION)
5. Referential Questionに対する応答を評価する際のポイント
求める応答が比較的「一定」(予測可能)であるDisplay
Questionに対して、Referential Questionの場合には様々な応答が許容範囲となるため、
模範解答そのものではない「評価基準」が必要となる。その基準として、次のような観点が考えられる。
(1) Contentに関する基準(情報の量・質)
量:求められる情報の重要度に大きな差が見られない場合
(単純描写や理由の列挙等、描写の手法「全体像」vs 「細部」)
質:求められる情報の重要度が異なる場合
(因果関係や時間的経過を含んだ描写等、「キー情報」の有無)
(2) Form(Delivery)に関する基準
構成:複数の情報を要領よくまとめる(情報列挙のスタイル等)
語彙:使用語彙の適切さ
発音:一語一語の発音、連音、イントネーション
文法・語法:時制、コロケーション等の適切さ
6. 「アテイチュード」を評価に加える
新しい英検の面接では、「積極的にコミュニケーションを図ろうとする姿勢」を次のような観点から評価することとなった。
1. 質問を理解しようと努めているか
2. コミュニケーションの自然な流れを損なわないスムーズな応答ができているか
3. 沈黙しないで積極的に自己表現し、自分を理解してもらおうと努め、コミュニケーションを持続させていこうとする意欲があるか
4. 音声は明瞭か
7. ワークショプ用採点欄(採点はすべて5点満点・各問の合格ラインは3点とする)
上記の観点を踏まえて、3級、準2級、そして2級の面接ビデオを見ながら実際に採点をしてもらった。
以下はその際に用いた「採点用紙」と3級の「面接カード」のサンプルである。
3級 受験者用問題カード
Birthday Party
[Questions]
Birthdays are very happy times. A birthday party is always fun for the
whole family. We can invite friends to the party, play games and enjoy
a delicious meal.
No.1 Please look at the picture. What's on the table?
No.2 What is the girl going to do?
No.3 How does the mother look?
No.4 Now, Ms.(Mr.)____. What kind of present do you
want on your next birthday?
I want ______. →A
Nothing particular.→B
No.5 A: Why do you want it?
B: Why not?
<**挿絵省略>
8. まとめ
参加された方々に実際に採点をして頂く中で、様々な点数のズレが生じた。そのズレについて時間の許す限り、「なぜ○○という点にしたのか」という基準や考え方を率直に出して頂いた。
多くの方々の積極的な議論参加の中で、あらためてスピーキングの評価の難しさが浮き彫りとなった。
意見交換の中で出てきた点をいくつかを以下に紹介する。
(1) 音読における「個々の語句の発音」、「センスグループ」、「リズム・イントネーション」をどの程度の重みで評価したらよいのか。
(2) 描写を求める質問はどのようにするのが適切なのか。
(3) 複数の情報を描写する際に何をもって点数の差をつけるのか。
(4) 「アテイチュード」の適切な評価基準は何か。
(5) 試験官は受験者に発話を促すキューをある程度出してもよいのではないか。
(受験者が黙ってしまった時への対処の仕方をどうするか)
(6) 面接官のレベルのばらつきをどうおさえるか。
受験者のスピーキング能力を厳密に測定するには、試験官の能力の信頼性、測定の客観性を保つための面接時間、面接方法の妥当性など、様々な要素をどこまで突き詰めていくのかという大きな問題と同時に、非英語圏の学習者がどうしたら手軽に受験できるのかという実用性の問題とのすり合わせも考えなけばならない。
受験者のスピーキング能力を厳密に測定するには、試験官の能力の信頼性、測定の客観性を保つための面接時間、面接方法の妥当性など、様々な要素をどこまで突き詰めていくのかという大きな問題と同時に、非英語圏の学習者がどうしたら手軽に受験できるのかという実用性の問題とのすり合わせも考えなければならない。
冒頭に挙げたそれぞれの面接試験にはそれぞれに特長があり、試験の作成、実施関係者にはより一層信頼度が高く、また実用的なものを目指して頂く一方で、
学校現場においては日常の授業の中でそれらの方向性を前向きに反映させていく必要があろう。
最後に、今回のワークショップにあたり、貴重な資料を提供して下さった(財)日本英語検定協会と(株)アルクの関係者の方々に厚く御礼申し上げます。